インフルエンザの薬で断乳!?
内科を受診し、インフルエンザと診断されたママ。
内科の先生に授乳中と伝えると
「母乳にお薬が移行するので、おっぱいは止めてください」
授乳ママになれていない先生だとよく言われることがあります。
特に月齢が1歳近かったり、1歳過ぎていれば
安易に断乳をすすめられることも多いかもしれません。
しかし何の準備もなく急な断乳はおすすめできません。
急におっぱいをとりあえげられた赤ちゃんも不安定になりますし、
ママのほうも急な断乳は乳腺炎の危険があります。
本当に抗インフルエンザ薬を飲みながら授乳は不可能なのでしょうか?
各抗インフルエンザ薬について
現在発売されている抗インフルエンザ薬はタミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタ、ゾフルーザ
の5種類です。
各薬剤について解説します。
タミフル(オルセタミビル)
乳児投与量は母体投与量の0.5%となると報告されています。(※中外製薬)非常に少ないため乳児に影響を与える量ではなく、問題となる可能性は低いでしょう。
リレンザ(ザナミビル)、イナビル(ラニナミビル)
両剤とも吸入薬であり、作用は局所的です。吸入後1~46時間後の母乳中の薬物濃度は、LO(プロドラッグ)、LA(活性代謝物)とも検出限界未満だったと報告されています。
安全性は高いでしょう。
ラピアクタ(ペラミビル)
ラットにおいて乳汁移行が認められており、ラットにおけるラピアクタ静注後 30 分での乳汁中濃度は、血漿中濃度に対して Cmax が薬1/10、AUC は約 50%、または半減期は約6.55時間と報告されています。使用成績調査において授乳婦さんへのラピアクタ投与症例は 2 例あり、当症例及び授乳を受けた乳児における副作用の発現は認められませんでした。(※塩野義製薬)
ちなみに投与後18~24時間後からの授乳が現実的と推奨する文献があります。(※水野克己 母乳とくすりーあなたの疑問解決しますー,南山堂)
米国衛生研究所(NIH)の母乳と薬に関するデータベース「LactMed」によると、「経口吸収しにくい薬剤なので、母乳から摂取しても子への影響が出るほどの血中濃度にはならないと考えらえる」と記載されています。
ゾフルーザ(バロキサビル)
LactMedにて、「ヒトの母乳移行に関するデータはまだないものの、バロキサビルのタンパク結合率は93%のため、母乳中にはほとんど移行しないものと推測される」と記載されています。また小児にも投与可能で体重10kg以上の用量設定もされています。
授乳による問題は低いと考えられるでしょう。
ただ、まだ発売から日も浅くデータもないため、ゾフルーザでなければならない状況でなければ他薬剤を選択するのが良いでしょう。
抗インフルエンザ薬を服用しても授乳は可能
以上のことから、抗インフルエンザ薬を服用中でも授乳は継続可能と考えられます。使用するのであれば使用経験が豊富で安全性が確認されているタミフル、リレンザ、イナビルを選択するよう先生にお話すると良いでしょう。
しかし、すでにそれ以外の薬剤を飲んでしまったからと言って授乳を中断する必要はないでしょう。
子どもへのインフルエンザ感染を防ぐため、マスクと手洗いをしてから授乳やお世話をするようにしましょう。
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